カタログ #10
当ギャラリーの作品の大半は、シンプルながら温かみのあるアートに対する我々の関心を反映しています。これらの作品の中心にあるのは、単なる装飾に留まらないデザインを通じた本質の探求です。ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン、トム・ストララ、ル・コルビュジエ、リナ・ボ・バルディ、ジャン・プルーヴェらの作品は、それ自体が大きな魅力を備え、我々の知性だけでなく、古くから受け継がれてきた感受性を揺さぶるのです。
販売カタログ、190ページ、作品及びチャンディーガルの写真、PDFでのみ提供(こちらから)
“Das Wesen der Architektur”(建築の真髄)
近代建築学の批判的考察。何が作品にクオリティを与えるか —— この問題そのものが、いわゆる科学的な視点の持つ過誤を明らかにしています。建築はアートであり、これを触媒として我々は、自らの存在がそのまま映し出されているはずの、無意識の世界に到達できるのです。建築には、強大な力があります。それは熱望や恐怖などの人間性を表現することを通じて、我々をより豊かな存在にしてくれます。建築によって描き出される、人間のはかなさ、真実の追求、そして理想の渇望といった様々な本能は、プロポーションや材質などの美的な問題よりはるかに重要です。本書では、原理主義的な建築学の伝統的アプローチや、建築の本質的な深淵に到達できない現状について批判的に取り上げています。
理論書、132ページ、ドイツ語、モノクロ写真、2024年後半に刊行予定、約34ユーロ
“Die Radikalität des Banalen” (平凡さの持つラディカリズム)
Tom Strala vs. Pierre Jeanneret
二人のアーティストの比較考察。彼らの手がけた作品は、本質探求の軌跡を示しています。タイムレスなその作品は、流行も一過性の人気も追い求めません。彼らはむき出しの表現の持つラディカリズムを愛し、一見平凡でシンプルなものから思いもよらぬ深みを引き出すすべを心得ています。彼らの家具は、 ワンパターンな表現の代わりに、世界観や実存主義的な感覚の確固たる証となっています。ここに見られるのは機能美でも合理的に処理されたレトリックを秘める作品でもありません。ここでは、デザインは芸術なのです。
写真集、44ページ、英/独語、写真26葉、文書3、2024年刊行予定、約32ユーロ
チューリヒのル・コルビュジエ・センター
ル・コルビュジエが最後に手がけたハイディ・ウェバー・ハウスの写真集。世界的な重要性を持つにも関わらず、この建物の知名度はあまり高くありません。有名な写真家のローレンツ・クジーニがその複雑な構造をカメラでうまくとらえ、独自の解釈を加えて、この建物の素晴らしさを引き出すことに成功しました。客観性を重んじる写真は重層的な読み取りが可能であり、鑑賞者はその時の気分によって「建築的プロムナード」あるいは部屋の複雑な配置、さらには巧みな細部の処理に注目することでしょう。同時に建築に対して直感的なアプローチを取っていることから、過剰な背景知識によって詩的な性格が損なわれることから免れています。ここでは私達は、建築はファンタジーとしての性格も持ち、我々の感覚と好奇心を同じように満足させることに気づくのです。
写真集、44ページ、英/独語、写真16葉、文書3、2024年刊行予定、約32ユーロ、写真家のサイン入り限定版は240ユーロ
“Tom Strala: τέχνη” (トム・ストララ『テクネ』)
ギリシア語の言葉τέχνη (テクネ)は、芸術、知性、技術の完全な融合を表します。これは、デザインにのみ専念して実際の製造は職人に任せている現代の産業デザイナーには無縁の概念かもしれません。 その場合、デザイナーとその作品の関係は、工業製品に対する場合と同じく、概念的なものにとどまります。これに対して、家具デザイナーであり芸術家でもあるトム・ストララは「テクネ」を体現し、自らの作品に可能な限り深く関与する努力を続けています。自ら作品を制作することによって、彼自身が作品と一体化し、彼の作品は彼自身になるのです。トム・ストララという芸術家は意志の力、そして人格を作品に注ぎ込んでおり、結果として、コレクター達が非常に高く評価する深みが作品に生まれるのです。この写真集では、「バルトーク」の制作過程をご覧いただくだけでなく、滅多に見ることのできない圧倒的な創造エネルギーを感じていただけるでしょう。
写真集、48ページ、英/独語、ポラロイド写真の複製47葉、2020年刊行予定、約48ユーロ、トム・ストララのサイン入り限定版は400ユーロ
“CHARLOTTE PERRIAND | Mauritania: Field of Experimentation” (シャルロット・ペリアン『モーリタニア:実験現場』)
1958年ごろから、当時フランスの植民地だったモーリタニア沿岸部のカンサドに、労働者の集落が建設されました。当時流行りのモダニズムにしたがって合理的で理想主義的な建物が設計された一方、シャルロット・ペリアンのデザインした家具は、その詩的な素朴さで今日でも魅力を失っていません。しかし当時から現在までの間に、ほとんどの家具は売却されるか失われるかしてしまいました。
写真はこの場所の持つ特徴を巧みに表現しており、ヨーロッパとモーリタニアの文化の出会いを示しています。この写真集では、単に建物が撮影されているだけでなく、モーリタニアの地方の日常生活の印象が切り取られ、また現在この場所で起きている変化を示しています。
写真集、64ページ、英/独語、2024年刊行予定、約48ユーロ、写真家のサイン入り限定版は180ユーロ
「ル・コルビュジエ・アルバム・パンジャブ、1951年」
ル・コルビュジエが保管していたノートの複製アルバムと、従兄弟のピエール・ジャンヌレによる未公開写真集からなるセット。ル・コルビュジエのスケッチとメモ、ノート、概略図、個人的な考察が1 冊に収められています。これらは、彼がインドのパンジャブ州を訪問した際の会議に従って作成されたものです。テーマはチャンディーガルの計画と建設でした。このノートはチャンディーガルの都市計画の基礎となったアイデアや議論についての洞察が書かれ、わずか数日間で計画がどのようにまとめられたかを垣間見ることができるため、貴重です。
ジャンヌレが撮影した写真が掲載されたペーパーバック版は、スパイラル綴じのノートの複製に倣ったものです。建築史家マリステラ・カシアートは書面によるコメントを通じて、本に出てくる様々なテーマについて考察しています。手書きの文字は、フランス語と英語に転写されています。
詳細:
ピエール・ジャンヌレが撮影した写真、マリステッラ・カシアートのエッセイ付き、ラース・ミュラー出版社、23.4 × 31.5 cm
jeanneret chair
建築家・ ル・コルビュジエ
P Galerie offers furniture of Chandigarh of Charlotte Perriand in Paris and Cansado. A selection of stools, chairs and other objects by Pierre Jeanneret and Le Corbusier. Chandigarh is a great spot